水槽内で繁殖するエビ・しないエビ。

熱帯魚・金魚

水槽の中のお掃除屋さんで投入されることの多いエビさん。

最近はいろんな色のエビが作出されていますね。人によってはエビメインの水槽を作っているほどです。

 

私は大学の研究で淡水エビを専攻した人間です。エビ好きなんですよねー。動きが可愛いし綺麗。

そして繁殖も容易!!繁殖させるのもエビ飼育の醍醐味です。

 

しかしながら、水槽内で繁殖できないエビもいます。

どんな種類が繁殖するのか、なぜ繁殖できないのかまとめます!

 

 

水槽で繁殖するエビとしないエビの違い

 

熱帯魚ショップに売られているエビの定番はミナミヌマエビとヤマトヌマエビです。

ミナミヌマエビは水槽内で容易に繁殖して数を増やすことができます。

 

ヤマトヌマエビは水槽内で繁殖させることができません。その代わりというわけではないですが、コケ取り能力がとても高いためコケの掃除屋さんとして評判が良いエビです。

コケ掃除させるならミナミヌマエビをたくさん入れるよりヤマトヌマエビを数匹いれた方が仕事をしてくれます。1匹でミナミヌマエビ5匹分くらいの働きをしてくれる優秀なエビです。

 

サイズはヤマトヌマエビの方が大きいですが、外見はよく似ています。価格はヤマトヌマエビの方が高いです。

 

なぜミナミヌマエビは繁殖できて、ヤマトヌマエビは繁殖できないのか。

それは卵から産まれてきた時の状態が違うからです。

 

ミナミヌマエビは産まれた時からエビの形をしています。とっても小さいですが、稚エビとして肉眼で認識することが可能です。

ではヤマトヌマエビはどうかというと、エビの形で産まれてくるわけではなく幼生の形で産まれてきます。幼生の状態で産まれるエビの子供は水槽内に餌がないので生き伸びることができないのです。

水槽内でヤマトヌマエビの幼生は生きることができないですが、それ以前にヤマトヌマエビが抱卵している姿を見たことがある人はほとんどいないと思います。

このように幼生で子供を産むエビは一般的に降海型と呼ばれます。つまり親エビは汽水〜海で子供を産むんです。

産まれたエビは大海原へ旅立ち、プランクトンなどの小さな餌を食べながら変態し、大人になってまた川を登るのです。ですので、水槽内で抱卵することはほぼありません。

 

ミナミヌマエビなどの淡水域だけで生活しているエビのことを陸封型と言います。

降海型は小卵多産型で小さな卵をたくさん産みます。産まれてくるサイズが小さいので幼生の間に捕食されてしまうリスクも高いのでたくさん産んで生き残ろうとします。

逆に陸封型は大卵少産型です。エビの形で産まれてくるので卵が少なくとも生き残る可能性が高いんです。

 

余談ですが、降海型の方が分布が広いです。当たり前ですね。海を利用して流れていきますから。逆に陸封型はすごい近い隣の島でも別種の場合があります。

 

ミナミヌマエビとヤマトヌマエビの特徴を下記の表にまとめました。ご参考ください。

ミナミヌマエビ ヤマトヌマエビ
淡水繁殖 する しない
生態 陸封型 降海型(両側回遊種)
大卵少産型 小卵多産型
産まれ方 エビの姿で産まれる 幼生で産まれる

ちなみに魚では同種で降海型と陸封型に別れている種がおり、例えばサクラマスは降海しますがヤマメはサクラマスの陸封型になります。またヒメマスはベニザケの陸封型です。

ミナミヌマエビとヤマトヌマエビは同種ではないのでご注意を。

 

水槽で繁殖する種

では水槽で繁殖する種はミナミヌマエビ以外にどんなものがいるのかご紹介します。

レッドチェリーシュリンプ

 

1匹200円前後で価格的にもとても手の出しやすい種類です。ミナミヌマエビと同属ですので互いに交雑してしまいます。

最近はブルーやイエロー、ブラックなど様々な色が作出されています。また胴体部分の色が抜けてるルリーシュリンプなんてのもいます。

どれもミナミヌマエビと同様の飼い方で飼育できて簡単に繁殖します。

 

ビーシュリンプ

 

赤と白の縞模様の個体が定番です。蜂のようなのでビーシュリンプ。

ワイルド種は黒(または茶)と白(または透明)の縞模様です。赤白は人間が作出した改良品種です。ちなみに原産地は香港といわれています。

 

これもまたミナミヌマエビに近縁の種類になるので繁殖は容易です。愛好家も多く、自宅で綺麗な模様を作出している人もたくさんいます。

お値段は1匹300円〜ぐらいで、チェリーシュリンプより少し高いです。珍しい色の入り方(ex:日の丸)をしていると2,000円〜5,000円とか当たり前になってきます。

 

その他

他にも淡水で繁殖する種は色々います。しかし、上記2種に比べて難易度がだいぶ高くなってきます。

例えばロックシュリンプ。

少し大きい迫力のあるエビです。

淡水繁殖可能ですが、幼生期があるらしく水流は弱めないといけないし混泳していたら食べられてしまって終わりです。

 

またホワイトグローブシュリンプ(スラウェシシュリンプ)。

海水魚のホワイトソックスシュリンプのようなエビです。

めっちゃ綺麗で私は大好きなんですが、水槽のpHをだいぶアルカリ性に寄せないといけないのでテクニックが必要です。

 

まずはチェリーシュリンプやビーシュリンプの繁殖ができるようになってから挑戦するのが良いでしょう。

ただの混泳目的ならロックシュリンプは迫力があっていいですよ〜。ホワイトグローブシュリンプは混泳にはあまり向きません。pHが他の魚と少し違うので。

あとザリガニも繁殖できます。ザリガニは魚食べちゃうんで混泳しずらいですけどね。

小さいザリガニならドワーフザリガニが綺麗でおすすめです。

 

 

水槽で繁殖しない種

 

実はヤマトヌマエビ以外で水槽で繁殖しない種はあんまり流通していません。人気がないのでしょう。

自然界にはたくさん生息しています。例えばテナガエビも降海型ですし、河川にいるエビは降海する種が多いです。

 

 

最後に

 

観賞魚飼育は綺麗にレイアウトして自然の風景を切り取った水槽を作るのも楽しいですが、繁殖させるのもまた一つの楽しみ方です。

エビの繁殖は魚を繁殖させるよりダントツで簡単です。水草さえ茂っていれば混泳水槽でも勝手に繁殖しちゃいます。

ぜひチャレンジして見てください!

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