坂木司「和菓子のアン」

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一年で60冊本を読むとか言っておきながら、もう3月なのに5冊くらいしか読めていない・・・ 

情けない状態ではあるが、気を取り直して、本日読了した本をご紹介。 

和菓子のアン (光文社文庫)
坂木 司
光文社
2012-10-11


デパ地下の和菓子屋さんが舞台

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先に申し上げておくが、わたくし、甘いお菓子を全然食べない。

特に和菓子が嫌いで、その中でも、あんこが大嫌いだ。

というか、お菓子に限らず、食べ物の中で一番嫌いな食べ物を何かと聞かれると、

いつも即答で、「あんこ」と答える

あんこにも、こしあんと粒あんがあるが、粒あんの甘ったるくて、皮が口に当たる感じ・・・

想像しただけでも嫌な気分になる。色合いも悪い。なにあの色。

あんこについての悪口を言えと言われるといくらでも出てくる。

そんなわたくしが何故にこの本を手に取ったのか。
 
その理由は、坂木司氏の他の作品を読む機会があったから。

読んだのは「シンデレラ・ティース」と「ホテルジューシー」。

坂木司氏の本はこれで3冊目。

前に読んだ2作で同氏のファンになり、3冊目は同氏のベストセラーを。

ということで、手に取ったのだが、個人的には敵に立ち向かうような気持ちで読んだ。

読み始めてすぐに、もう一つ壁が・・・

気合を入れて、さあ読むぞと、読み始めてすぐ、もう一つの壁が私に立ちはだかる。

主人公は150cmの57キロというぽっちゃり系なのだが、

描写されている雰囲気などを含め、私が嫌いな知人にそっくり

至極、個人的な感想で申し訳ない。

しかし、和菓子が嫌いな上、主人公も好きになれないとなると、もう詰んでる気がしてくる。

早く読み終わりたい気持ち一心で、半べそで、読み進めた。

坂木司氏の本の特徴

これはあとがきにも書いてあるのだが、

同氏の本は基本スタイルとして大きく2つの要素が盛り込まれている。

それは、「主人公の成長」と「日常の謎」。

アルバイトを通して成長する主人公

主人公は高卒の18歳なのだが、やりたいこともないし、なんとなく大学に行くのも嫌。

進路を決めずに、高校を卒業する。親としてはちょー心配な娘。

卒業して5月までニート。

5月にデパ地下の和菓子屋さんでアルバイトをスタートさせる。ここが主な舞台となる。

女性店長とイケメン社員、大学生のアルバイト女性。そこに主人公がアルバイトとして入って来る。 

従業員やお客さんたちとの対話、そして奥が深い和菓子の世界に触れて、少しずつ成長していく主人公。

謎を運んでくるお客さん

働いている中で、お客さんが和菓子に関わる謎を運んでくる。

同氏の本は今まで読んだどの本も、探偵役になる人物がいる。この本では女性店長が主な探偵役だ。

主人公は成長していく中で、謎の鍵を見つけていくことができるようになっていく。これは、どの本にも共通。

2つの大きな要素が、すごく親密に関わりあっている。

和菓子のことが好きになる

残念ながら私は少しも食べたいとは思わないが・・・

この本を読んで、和菓子の成り立ちや遊び心に触れると、お菓子好きの人は絶対和菓子屋さんに走りたくなるはず。 

和菓子の嫌いな私でも妻を連れて足を運んでみようかなと思うほどだ。

私は甘いものは好んで食べないのだが、お菓子の中では、どちらかというと洋菓子ならまだ食べる。

私はコーヒーが大好きなので、私の中の洋菓子は「コーヒーを美味しくいただくためのもの」である。 

現代では和菓子より洋菓子の方が需要があると思っている。

その、洋菓子の方が人気があるように感じるという点にも言及されている部分があって勉強になった。

奥が深いおはぎ

私の上司がおはぎが好きで、よく食べているのだが、

恥ずかしながら、私はこの本を読むまで、「おはぎ」と「ぼたもち」が同じものだと知らなかった・・・

上司がよく食べてるから、おはぎがどんなものか知っている。じゃあぼたもちって何?と聞かれると正直なところ、答えることができなかった。 

また、おはぎにはぼたもち以外にも名前がたくさんあるらしい。

おはぎは萩、ぼたもちは牡丹からきているようだが、他の名前もすごく遊び心があってとても面白かった。

和菓子は日本のお菓子なので、日本の気候に合うように作られている。そして名前も風情がある日本人らしいものが付いている。 

トリビアがあふれた物語だった。

結局、私は食べないけど

 
上でも少し触れたが、和菓子は洋菓子に比べて少し分が悪く感じてしまうことがある。見た目も地味だし。

でもこれを読むと、その考えは、ただ和菓子を「知らなかっただけ」だったことがわかる。 

この本を
読んだ人は、明日、いや今日にでも本当に和菓子屋さんに行きたくなるだろう。読んだ季節的に、今はこのお菓子がありそうだ、とか想像しながら。歴史を感じるために。旬を味わうために。

この本を読んでも、私のあんこ嫌いは治らないけど、それでも、和菓子への見方が160度くらいは変わった。

あと20度はあんこの甘さが変わらなければ、変わらないだろうけど。

ちなみに、続編が出てるらしい。

アンと青春
坂木 司
光文社
2016-03-17


これも、読んでみようと思う。噂では恋愛的内容もあるようで。

前に読んだ2作でも感じたが、同氏の恋愛描写は共感する部分があって好きなので。

あ、あと、

読み終わった頃には、この物語の主人公のことは、好きになることができました。

めでたしめでたし。